企業は具体的にどんな対応が求められるのでしょうか？　具体的な取り組みについて、TCFD最終報告書では、企業に対して、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標・目標」の4項目について、財務的影響のある気候関連情報を開示するよう勧めています （図表参照） 。

今後、あらゆる企業は、①2℃目標等の気候シナリオを用いて、②自社の気候関連リスク・機会を評価し、③経営戦略・リスク管理へ反映、④その財務上の影響を把握、開示することが求められる流れになっています。

TCFDを自社に取り込むにあたって、お勧めするステップ（必須６ステップ）をご紹介します。開示推奨の4項目に「機会と責任の理解」と「サプライチェーンGHG排出量・削減量の把握」を加えたのが必須6ステップになります。

着目しておきたいのは、各ステップにしっかり取り組んで4項目の情報開示に至る一連のプロセスは、組織の戦略策定やビジネスチャンス拡大につながり、持続可能な方向に事業を向かわせることできる、という点です。では各ステップと取り組みのポイントをご紹介していきます （図表参照） 。

●「６ステップ」で効率的に取り込む

まず、「ステップ1：機会と責任の理解」です。ここではTCFDの概要に加え、サプライチェーン排出量のスコープ1,2,3と、その削減計画（SBT）の理解が必要です。
次の「ステップ2：サプライチェーン排出量・削減量の把握」ですが、ここでは実際のスコープ1,2,3排出量を把握して、財務インパクトを具体的に出して、リスク重要度の検討を行います。

このステップ２の際、ポイントとなるのがサプライチェーン排出量とも言われるスコープ３の的確な把握です。企業活動に関わる全て（サプライチェーン）の温室効果ガス排出が含まれるので、自社ビジネスが及ぼす影響をしっかり押さえることが求められるのです。 図表 にサプライチェーン（スコープ3）GHG算定の詳細を載せておきます。

ステップ3は「ガバナンス」です。TCFDを組織に効果的に取り込む上では、このステップの経営層のコミットメントと推進体制の整備が成否を握っているとも言えるでしょう。自分達組織が、どのような体制で検討し、企業の活動にどのように反映しているのかを問うことになります。

続くステップ4は「戦略」です。気候変動が、短期・中期・長期にわたり、企業経営にどのように影響を与えるのか、それについてどう考えるのか。ここでは、重大な財務影響を及ぼすリスク特定した上で、バリューチェーンへの影響を見ながら、気候シナリオに基づく分析を行います。

ステップ5が「リスク管理」です。この言葉からは幅広い対象がイメージされますが、TCFDで求められるのは、自社が対峙する気候変動のリスクについて、いかに特定して、それを評価し、実際にどのように低減しようとしているか、この点を考えていくことになります。たとえばビジネスへのリスクの影響の評価や気候変動に対するリスクヘッジ策の検討を行うことになります。

最後は「ステップ６：指標と目標」です。気候関連のリスクと機会の評価について取り上げます。どのような指標を用いて判断し、目標への進捗度を評価しているかを考えていきます。リスクと機会を評価・管理
する際に使用する指標と目標の設定を行うことになります。

以上のステップ１～６の流れの中で、とりわけポイントとなってくるのは、「サプライチェーン排出量」の算出と、開示推奨4項目の情報に関して、客観的で裏付けがある内容にすることです。

日本能率協会（JMA）の「TCFD導入支援サービス」の特長は、リスクヘッジと他社との差別化が実現する絶好な「機会」につなげてもらう点にあります。日本能率協会（JMA）の「TCFD導入支援サービス」の特長は、リスクヘッジと他社との差別化が実現する絶好な「機会」につなげてもらう点にあります。
JMAならではのサービスの強みとしては、

① SDGsで250社以上の導入支援――各組織に合致した取り組みを支援
② ISO（GHG）認定の機関としてGHG排出量・削減量を検証――GHGサプライチェーン排出量（スコープ３）の算定・検証に関するノウハウ・知見
③ ISO審査機関として3,000社以上を審査――組織のリスク・機会を評価、経営戦略・リスク管理を審査するノウハウ・知見

の３点です。これらの幅広い経験に基づいて、各企業様のTCFD対応の導入にむけて、最適な「TCFD導入支援サービス」プログラムをご提案します。

サービス・プログラムの構成は、TCFDで求められる気候変動に関する「シナリオ分析」に加えて、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」に関して的確な情報開示を実現できます。同時に、TCFD対応のための組織体制構築の支援も行っており、導入のポイントとなる気候関連の機会を評価・管理するための目標として排出量削減の設定を行うために、GHGサプライチェーン排出量(スコープ１,２,３)を含めたGHG排出量の算定支援も可能です。
以下にJMAの「TCFD支援サービス」の流れと全体のスケジュールをご紹介します。

この機会に、ぜひともJMAの「TCFD導入支援サービス」をご活用ください。